boundary

私たちは無数のものごとが混在した世界で生きており、その多くは接する線や面、空間を持ち、境界によって隔てられ、形を持つ。
また、私たち様々なものに自ら境界を生み出す事で世界を認識している。
実在の物体としても、認識という意味でも、境界が世界の輪郭を形作っているといっても過言ではない。

では、その境界とは何なのだろうか?
そこで何が起きていて、何を起こしうるのだろうか?
境界線を拡大すれば線幅があり、境界面には空間があり、異質なものが接するところには、何かが起きるはずだ。

私たちは、境界について考え、そこで起きる事、生み出される事を形にしました。

  • Blue

    pendant light
    Mizuho NISHIDE
    Size: φ620 x H.1900
    Material: polyester yarn, plywood,vulcanized fibre

    Blue は、光に表情を与える水や雨の様を模した照明です。
    水の流れのように垂れ下がった無数の青い糸がフィルターとなって光を包み込み、光の柱を出現させます。
    光は青い糸の群れにボリュームを与え、幻想的な影を床や周囲に投影し、水底に降り注ぐ光や、雨に煙る街灯を想起させる風景を作り出します。

  • In the Wall

    hanging board
    Kohei KAMIMURA
    Size: W.440 x D.40 x H.2200
    Material: plywood, steel, leather

    壁の表皮を少しだけ剥いて空間を生み出したら、何が起こるだろうか。
    In the Wall は、壁と表皮の狭間であり、壁と家具の間と言えるような存在です。
    壁面を残しつつコンパクトな収納スペースを生み出します。
    細長く、表面はプレーンな板の裏にはハンガーラックが付いており、ハンガーを掛けるだけでなく、 オープンポケットやフックなどのオプションパーツも取り付けることで、様々な小物を収納することもできます。

  • Kaleido

    screen
    Junichiro OSHIMA
    Size: W.1000 x D.300 x H.1500-1700
    Material: nylon, rubber, beech

    境界の象徴とも言える「線」は、密度を上げていくにつれて面に近づいていきます。Kaleidoは美しい線の集合で空間に境界を作り出すスクリーン。円を回転させたり、重ねたりして、様々な模様と密度で空間を区切っていきます。折りたたみ式の脚の高さを変えることで、スクリーンの高さをコントロールすることもでき、様々なシーンで透過と遮断によって空間にリズムを生み出します。

  • Maurits

    side wagon
    Ayako HIOKI
    Size: W.440 x D.435 x H.595
    Material: plywood, mirror, polyester yarn

    感覚や予測を裏切られたとき、人は混乱し、自らの感覚やこの世界の有り様を疑います。
    この時に感じる気味の悪さは、一方で快感でもあり、「騙し絵」が人々の関心を引いて止まない理由でもあります。
    歪む空間、空中に静止する物体、重力場の反転など、様々な「裏切り」を起こすMaurits は、虚像の世界を生み出し、使い手に虚と実の狭間を体験させてくれます。

  • Node

    bench
    Nobu MIAKE
    Size: W.1300 x D.300 x H.350
    Material: ash

    塊を表から厚み半分削り、裏からも厚み半分削ると、当然厚みはゼロになります。
    表から削る溝と裏から削る溝を交差させると、交点は厚みがゼロ、すなわち穴が空き、それ以外の部分には部材が残り、不思議なメッシュ状の塊になります。
    Node は、この現象でできるかたちを利用して、削られた溝と貫通した穴に板脚を差し込み、ベンチの構造を成立させています。

  • Ripple

    table/wall organizers
    Hiroyuki IKEUCHI
    Size:
    Type WW / W.235 x D.60 x H.150
    Type WT / W.80 x D.140 x H.195
    Type R / W.130 x D.76 x H.34
    Type S / W.80 x D.81 x H.38
    Material: black cherry, hard maple, walnut, mountain cherry, marble, slate

    ぴったりと接する面と面で挟むと、紙はしっかりと保持されるだけでなく、接面のかたちを写し取ります。
    そして、接面が曲面であれば、挟まれた紙は曲面に保たれ、力学的に強い構造に変化します。Ripple は、凸曲面を持つ塊と、その凸曲面でくり抜かれた凹曲面を持つ塊のふたつから成ります。
    自身の重みでペーパーウエイトとしても機能しますが、最も重要なのはふたつの塊で「挟んだ紙を器に変える」という役割です。
    Rippleに挟まれた紙が接面の形に規定され曲面となることで強度を持ち、器として機能します。

  • Twilight

    display case
    Seiju UDODAIRA
    Size: W.440 x D.150 x H.200
    Material: glass, polarizer, PET film, plywood

    Twilight は、昼と夜の境目に刻々と変わる空の色を表現したディスプレイケースです。
    偏光板を挟んだ円形の扉を回転させると、円盤の色は鈍いオレンジ色、墨色、深い青と変化します。
    円盤同士が重なり合った部分の色も移り変わり、ケースにおさめたモノたちは、移ろいゆく空のような色に包まれます。

  • Up

    floor light
    Yuji SUZUKI
    Size: φ.300 x H.1550-2050
    Material: oak, polypropylene, steel strip, nylon cord

    Up の紐を引くと、平たく垂れ下がったシェードが円筒形に絞られていき、それに伴い徐々に立ち上がっていきます。そして、ある点を超えると、あたかも船の帆が風を受けて満帆になるように一気に立ち上がります。Up のシェードは、垂れた状態では優しく下方を照らし、立ち上げた状態ではアッパーライトとして空間を照らします。

  • Warp

    hanger rack
    Jun AKADA
    Size: W.280 x D.35 x H.1400
    Material: steel strip, hard maple

    帯鋼を押し縮めることで平面が曲面となり、起伏が生まれます。
    柔らかい帯鋼は軽い力で簡単に操作でき、押し込むと凹面に、引き出すと凸面に、張力を保ちながら力が釣り合う対極のかたちを行き来します。
    凹面と凸面のギャップと張力を利用してハンガーやストールを掛けたり、棚板を保持させたり、紙を挟み込んだり。Warp は、平面を曲面へと変化させることで、平面では実現できない様々な使い方の可能性を生み出します。